放置は危険!空き家問題の深刻化を防ぐ空き家対策特別措置法の活用—三重県伊賀市の事例から学ぶ!
■はじめに

空き家問題は、全国各地で深刻化しています。特に所有者や相続人が管理を怠った空き家は、倒壊や周辺環境への悪影響をもたらし、地域住民の安全や生活に直接的なリスクを及ぼします。本記事では、三重県伊賀市が初めて「空き家対策特別措置法」に基づいて相続人のいる空き家を行政代執行で撤去した事例をもとに、空き家問題の背景、法律の役割、そして解決のための重要なポイントを以下の順で解説します。特に、事前に専門家に相談することの重要性についても強調します。

- 空き家問題の現状と伊賀市の取り組み
- 空き家対策特別措置法とは?
- 伊賀市の事例から見る行政代執行の流れ
- 空き家問題解決のために:専門家への相談の重要性
- まとめ:空き家対策は早めの対応が鍵
- 空き家問題の現状と伊賀市の取り組み
全国で増加している空き家は、放置されることで地域社会にさまざまな問題を引き起こします。特に倒壊の危険がある空き家は、自治体にとって重大な課題です。

三重県伊賀市八幡町では、木造平屋建て約153平方メートルの特定空き家が数年前から崩落し始め、周辺住民や通行人に危険を及ぼしていました。2019年、市はこの空き家を「特定空き家」に認定し、相続人に対して撤去の指導・勧告を繰り返しましたが、期限内に解体されることはありませんでした。その結果、伊賀市は2023年11月5日に行政代執行に踏み切り、解体作業を開始しました。このような対応は、相続人がいる空き家に対しては市内で初めての事例となります。
2.空き家対策特別措置法とは?
法律の概要
「空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」は、空き家の増加による地域社会の課題を解決するため、2015年に施行されました。この法律により、市町村は特定空き家を所有者や相続人に改善させるための指導や勧告、命令を行うことができ、最終的には行政代執行を実施することも可能です。
特定空き家の定義
特定空き家とは、以下の条件を満たす空き家を指します:
・倒壊や部材の落下などの危険がある。
・衛生上有害である。
・景観を損なう。
・周辺環境に悪影響を及ぼしている。

行政代執行の仕組み
行政代執行は、所有者や相続人が改善命令に従わない場合に、市町村が代わりに空き家の解体・撤去を行い、その費用を請求する仕組みです。今回の伊賀市では、解体費用約633万円を法定相続人に請求し、支払いがない場合は差し押さえなどの法的措置が取られる予定です。
3.伊賀市の事例から見る行政代執行の流れ
具体的な対応の流れ
・特定空き家の認定:2019年、市が問題の空き家を特定空き家に認定。
・所有者・相続人への指導・勧告:解体や管理の指導を行う。
・命令・期限の設定:期限を設け、対応がなければ代執行を計画。
・行政代執行開始:2023年11月5日に解体作業開始。来年1月中に撤去を完了予定。
・費用請求:解体費用を相続人に請求し、支払いがない場合は差し押さえなどの措置を検討。
この事例から学べること
空き家問題の放置は、自治体が最終的に対応することになる。
解体費用は高額であり、相続人が法的責任を負う。
4.空き家問題解決のために:専門家への相談の重要性
空き家問題を放置してしまうと、最終的には行政代執行や費用請求、さらには差し押さえという形で、所有者や相続人に大きな負担が降りかかります。そこで、早い段階で専門家に相談することが非常に重要です。
専門家に相談するメリット
・法的リスクの回避
空き家が特定空き家に認定される前に対策を講じることで、行政代執行を防ぐことができます。
・適切な処理の提案
売却や寄付、解体の選択肢を明確化し、費用負担を軽減する方法を提示してもらえます。
・相続に関するアドバイス
空き家が相続物件の場合、相続登記や処分についての適切な助言が得られます。
・相談先の例
不動産会社:売却や管理についての助言。
行政窓口:特定空き家の認定や法律対応についての案内。
弁護士や司法書士、行政書士:相続や差し押さえリスクについての専門的アドバイス。
5.まとめ:空き家対策は早めの対応が鍵
伊賀市の事例から分かるように、空き家問題は自治体が法的措置を講じるほど深刻な社会問題となっています。この問題は単に所有者や相続人にとっての負担に留まらず、地域の安全性や景観、さらには不動産価値にも影響を及ぼします。
しかし、所有者や相続人が早めに行動を起こせば、多くのリスクを回避することが可能です。具体的には、空き家の状態を把握し、必要に応じて修繕や活用方法の検討を進めることが重要です。また、自治体や専門家のアドバイスを活用することで、より適切な解決策を見つけることができます。
空き家を所有する方や、相続する予定のある方は、まず専門家に相談することをおすすめします。現状を正確に把握した上で、売却、賃貸、解体、再利用といった選択肢を検討し、放置による法的リスクや経済的損失を未然に防ぎましょう。適切な対応は、所有者自身の利益だけでなく、地域社会への貢献にもつながる第一歩です。

行政書士藤之原事務所では、空き家に関するご相談を随時承っております。空き家の現状や今後の活用方法、相続に伴うお悩みなど、幅広い課題に対して専門的なアドバイスをご提供します。まずはお気軽にご相談ください。適切なサポートを通じて、安心でスムーズな解決へと導きます。
空き家問題を早期に解決し、より良い未来を築いていきましょう。
出典
「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局))
(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf)
政府広報オンライン
(https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html#column)